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近畿地区山岳連盟、遭対・指導合同研修会の報告
2009/06/20
兵庫県山岳連盟 技術・遭対委員長 一本松文夫
実施日:2009年5月30日(土)〜31日(日)
実施場所:神戸登山研修所
5月30日〜31日、神戸登山研修所に於いて、大阪京都三重兵庫の各岳連、遭対委員会と指導委員会の理事及び委員約二十名が集まり、合同研修会が開催された。
昨年暮れに比良山岳センターで開催された、近畿地区山岳連盟総会での遭対、指導合同の分科会に於いて、レスキュー講習に関して互 いの講習方法、講習内容等々、相違点や意見を交換し、検討する機会を持とうと言う話になり、今回実現した。
日山協遭対委員会から渡邊輝男氏を招いて研修会は開始された。
レスキュー講習は遭対委員会のみでなく、指導委員会においても主任検定員養成講習会での講習内容になっており、今回はセルフレスキューをメインのテーマとした。
午前中は支点の作成、ロープワーク、懸垂下降に関して話し合われた。
ボルト等のアンカーついては、現物見本を実際に見て、種類、材質、強度について確認しあったのちに、流動分散、固定分散の選択を 検討した。また、ロープの結束(エイトノット、オーバーハンドノット、ダブルフィッシャーマンズノット等)、フリクションノット
の選択(オートブロック、クレイムハイスト等)、材質に就いて多くの議論が交わされた。
午後からは岩場での事故事例を想定して、人工岩場でリーダーレスキューの検討に入った。まずビレイからの自己脱出として、ビレイ デバイスの仮固定、テンションの移動、クライムアップ、支点の補強、振り分け救助の準備、懸垂下降、振り分け救助の流れで、指導
、遭対夫々の方法で行うことになった。合同の研修会が進行するにつれ、いろいろな相違点が見られるようになった。テンションの移 動でのフリクションノットに、指導はマッシャー(オートブロック)を使用していたのに対して、遭対はクレイムハイストを推奨した
。振り分け救助の際、懸垂下降のバックアップについては下降器よりも下にフリクションノットを取ることで一致したが、遭対はオー トブロックを推奨、指導は限定せず各自慣れた方法で対応との事であった。振り分け救助にデイジーチェーンを使用する事に関しては
、本来の使用ではないが、セルフレスキュー時に持ちあわせている事が多いこと、セルフレスキューの際の静加重には耐えられる強度がある事から、指導、遭対とも利用は可とする見解で一致した。また、商品名パス(パーソナルアンカーシステム)と呼ばれているソウンスリングのチェーンは強度がより高い点で、より推奨すべき装備ではと言った意見が出された。
通常の懸垂下降時のバックアップについて、遭対からはハーネスのビレイループからヌンチャク1本分の所に懸垂器具をセットし、バ ックアップはビレイループにオートブロックで取る方法を紹介。以上、指導、遭対で色々な相違点が明らかになったと同時に、両委員会が共通して推奨すべき事柄も挙げられた。
フリクションノット のためのロープスリングの太さは7ミリを推奨し、6ミリは使用に耐えない事を指導して行こうと言うことで一致した。用語の使い方と
してはマッシャーとオートブロックが同じ意味内容なのでここはオートブロックに統一したほうが良いのではと言う意見が多かった。
支点の構築に関すること、ロープの結束に関することは、指導遭対を超えて色々な意見が出て、議論を交わす中、統一的なものは決め ないことで終わった。しかし指導遭対とも一致した見解は、ロープの結束方法でどれを採用した場合でも、余端は十分にとり、結び目
は綺麗に、一本一本しっかりときつく結ぶ。そしてバックアップも取る。その事だけは共通の約束事にしようと言う事で一致した。
開会
流動分散の支点構築例
マルチピッチのシステム説明中
固定分散の支点構築中
各種ボルトのサンプル

左から
1:12mmオールアンカー+自作ハンガー
2:8mmカットアンカー+自作ハンガー
3:10mmカットアンカー(内部コーン式)+自作ハンガー
4:リングボルト
5:ウェッジ式締め付け方式アンカー+Fixe#038ハンガー(通称グージョンボルト)
6:Fixe#014 ケミカルアンカー 通常HILTI RE500のグルー(接着剤)と併用します
7:10mmオールアンカー
ボルトの拡張状態

上から
1:12mmオールアンカー+自作ハンガーの拡張状態
2:8mmカットアンカーの拡張状態

3:10mmカットアンカーの拡張状態(内部コーン式)
4:リングボルト

5:ウェッジ式締め付け方式アンカー+Fixe#038ハンガー(通称グージョンボルト)
6:Fixe#014 ケミカルアンカー 通常HILTI RE500のグルー(接着剤)と併用します
7:10mmオールアンカーの拡張状態
各種ボルトの一般的な特徴
オールアンカー(建築用) 例1・7
ボルト主材の中心に拡張作用のための釘の穴が貫通しており、さらに拡張部分が4分割されている(切れ目が入っている)ため、ボルト自体の強度が弱くなっている。
10mmのオールアンカーの折損でグランドフォールの事故が発生した事もある。
比較的たくさん使用されている。
鉄製のものは、穴の中で錆びて腐食の進んでいる物もあるので要注意です。
リボルト対象品
(同様の構造でペツルよりロングライフの品名で発売されている物はクライミング用で製造されている物です。ここで例示している物とは全く別物です。)
オールアンカー(建築用) 例2・3
これも近郊のゲレンデでよく使用されてる。
いろんなハンガーとの組み合わせの物を見かける。
アルミハンガー+8mmボルト、ステンレスハンガー+10mmボルト等々。
ボルトは鉄もステンレスも両方使用されている。
ハンガーとボルトがステンレスでアンカーが鉄で錆びて腐食の激しいものある。
施工精度による効き具合のばらつきが多い。
リボルト対象品
ウェッジ式締め付け方式アンカー+Fixe#038ハンガー(通称グージョンボルト)
構造・強度とも優れている。施工による強度のばらつきは少ない。
非破壊型の引き抜き試験器で20KN程度の強度がある。
ステンレス製を使用する。
リーダーレスキューのシミュレーション
自己脱出の仮固定
テンション側ロープにクレイムハイストをセット
ここのフリクションノットはオートブロックよりクレイムハイストが望ましい
(理由:ゆるみにくい)
クレイムハイストからアンカーに固定
テンション側のメインロープを固定
カラビナは共用しないこと
テンションロープにフリクションノットをセットし、
フリーロープにバックアップをとって墜落者の所へ登る
振り分け懸垂の支点作成
可能な限り強固に作成する
ディジーチェーンをエイト環またはATC等
に固定しバックアップをセットし墜落者へ下降する

振り分けの短い方を墜落者にセット
メインロープの切り離し
墜落者のテンションはディジーチェーンに移った
下降中
懸垂のバックアップのオートブロック
懸垂時はロープを折り返して制動をかける
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